
多汗症・ワキガ治療
【ここがポイント】 ① 多汗症の治療には注射、多汗症治療薬の2つがある ② ワキガの原因は「アポクリン汗腺」からの汗 ③ ワキガの手術は問診と検査を受けてから
多汗症・ワキガ治療とは
脇のニオイが気になるのは汗をかいたときですが、汗そのものがニオイを発するのではなく、皮膚の表面にいる細菌がそれを分解することでニオイを発します。 とはいえ、多汗症もワキガもニオイが気になることには変わりはなく、その原因の大元である汗を抑えることを主眼において治療してきます。 多汗症にはボトックス注射、もしくは治療薬を使います。 ワキガの治療には手術が最も効果を発揮します。
注射
多汗症改善にも効果のあるボトックス
ボツリヌス菌が神経から出る発汗を促すアセチルコリンの放出をブロックする作用を利用し、ボトックス注射をすることで汗とにおいを抑制することができます。もちろん切開や手術は必要なく、ワキであれば両ワキで10分程度で終わる処置です。 通常は3〜4日程度で効果が出現し始めますが、効果出現時期や持続期間には個人差があり、製剤にもよりますが一般的には約6ヶ月〜1年効果が持続すると言われています。 当院では、脇汗やそれによるニオイに悩む方に加え夏に向けて発汗が気になるという方にこの治療をお受けいただいています。
施術の流れ
- 問診票の記入及び診察 必要事項を記入していただき、医師の診察にて治療可能か等含め最適な治療方法をご提案します。 気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。
- 施注 約10分 オペ室で行います。 ワキの場合は両脇をしっかり露出していただく必要がありますので、着脱しやすい服でのご来院をお勧めします。 対象箇所に対し、数カ所にわたって少量づつ注入していきます。 施術中は看護師がそばにおりますので、何かありましたらお気軽にお申し付けください。
- 施術後 注入部には軟膏を塗布し、ガーゼをあてます。ガーゼは帰宅後に外していただいて構いません。施術後の日常生活はいつも通り過ごしていただけますが、当日は過度な運動や長風呂、サウナ等はお控えください。
腫れ・痛みについて
注射の際のチクッとした痛みのみ。内出血が数日続く場合があります。※個人差があります。
料金
メニュー | 費用 |
---|---|
多汗症両脇注射 | 55,400円 |
多汗症治療薬 ラピフォートワイプ
多汗症治療のために作られたワイプ式の製剤で、簡易的かつ衛生的に使用できます。1日1枚で気になる汗の分泌を抑えることが出来ます。この製剤の有効成分であるグリコピロニウムトシル酸塩水和物は、原因となるアセチルコリンの働きを阻害することで、発汗を抑制します。
副作用
主な副作用(1%以上)として、羞明、散瞳、霧視、ドライアイ、排尿困難、頻尿、口渇、接触皮膚炎、湿疹が報告されています。
使用方法
1日1回、以下の手順でワイプ1枚(1包)を用いて両脇に1回使い切りで塗布します。
(1)脇をタオルで拭く等、清潔で乾いた状態にしてください。使用する直前に、ラピフォートワイプを開封します。
薬液飛散に注意し、目から離して開封してください。
(2)広げたワイプで脇を一拭きして、お薬を塗ります。同じワイプでもう片方の脇も同様にお薬を塗ります。
ゴシゴシこすらないでください。
傷や湿疹・皮膚炎等がある部位への使用は避けてください。
汗ふきシートではありません。脇以外の部位への使用は避けてください。
(3)他の方(特にお子様)が誤って触れることがないように注意し、適切に廃棄してください。
(4)使用後は直ちに手を洗い、手についたお薬をきれいに洗い流してください。
ラピフォートワイプ使用の注意点
- お薬に触れた手で目を触らないでください。
- お薬が目に入った場合、光をまぶしく感じる、目がかすむ、刺激を感じる等の症状があらわれることがあるので、目に入らないよう注意してください。万が一、目に入った場合は、すぐに水でよく洗い流してください。
- お薬を塗った部位をラップフィルム等で密封しないでください。
- お子様の手の届かないところに保管してください。
- お子様が使用する場合には、保護者の指導のもとに使用してください。
ワキガ手術
腋臭症(ワキガ)
- ワキの臭いが気になる。
- ワキの汗が多い。
- ワキガを確実に治したい。
- 自分のワキの臭いが気になって、人と距離を置いてしまう。
- ワキの汗が服につくと染みになる。
日本人は、西洋人と比べてワキガの人が人口に占める割合が低い傾向があります。またワキガに限らず、臭いに敏感な傾向があります。これらのことが、ワキガの人が集団から疎外されたり、また自分のワキガを必要以上に気にしてしまうことにつながっていると言われています。
ワキガの原因
私たちの身体には、「アポクリン汗腺」「エクリン汗腺」の2種類の汗腺がありますが、ワキガの原因となる汗を分泌するのは「アポクリン汗腺」です。
アポクリン汗腺とエクリン汗腺では違った種類の汗を分泌します。エクリン汗腺が、さらっとした透明な汗を分泌するのに対し、アポクリン汗腺は、やや粘り気のある黄色がかった汗を分泌します。どちらも汗そのものの臭いはほとんどありません。
アポクリン汗腺から分泌された汗は、脂質、糖質、アンモニア等の成分を含んでいますので、これらが皮膚上の常在菌によって酸化・分解されることで独特のワキガの臭いが発生します。エクリン汗腺から分泌される汗が蒸発する際、アポクリン汗腺から出た汗の臭いを一緒に拡散します。これもまたワキガの臭いが広範囲に伝わる原因の一つと言えます。
ワキガのリスクが高い方
- ワキガの患者様の男女比率はほぼ1対1で、やや女性が多いと言われています。女性の場合には性周期との関連もあると言われており、生理中や排卵期に臭いが強くなる方もいらっしゃいます。
- 食生活との関連も指摘されており、肉をよく食べる人ほど臭いが強いと言われています。日本人が欧米人と比べてワキガが少ない要因は、食生活の差にあるとも言われているほどです。
- 自律神経との関連も指摘されており、ワキガの患者様には自律神経が不安定な方が多いという研究結果も出ています。
ワキガの診断
ワキガの診断は、問診と検査で行われます。
問診について
問診の際のポイントとなるのが、「家族にワキガの人がいるか」「耳垢が湿っているか」の2点です。ワキガの患者様のほとんどがこの2点に当てはまっています。
「家族にワキガの人がいるか」ワキガは優性遺伝ですので、家族にワキガの人がいる場合、遺伝している可能性が高いと言えます。
「耳垢が湿っているか」ワキガの臭いの元となる汗を分泌するアポクリン汗腺は、耳の中にも存在します。一方、エクリン汗腺は耳の中に存在しないため、耳垢が湿っている場合にはアポクリン汗腺からの発汗が活発である可能性が高いと言えます。
検査
ワキにガーゼを挟んで一定時間を置き、その後ガーゼの臭いを医師が確認して診断します。(ガーゼテスト)臭いの強さで、5段階に分けて診断されます。
手術内容
ワキのシワに沿って小さく切開し、皮膚下の汗腺機能を取り除く手術を行います。
「剪除法」と呼びます。
ワキのシワに沿って(約3~7cm)切開し、エクリン汗腺、アポクリン汗腺を根元から直視下で除去します。
汗腺の数が減ったワキの臭い、汗の分泌量が大幅に抑えられます。
施術時間について
約1.5~2時間
傷跡について
ほとんど目立ちません。
腫れ、痛みについて
局所麻酔を行いますので、手術中の痛みはありません。手術後は、突っ張った感覚があるかもしれませんが、次第に治まります。痛みがある場合には痛み止めを処方いたします。
手術後の過ごし方について
抜糸が終わり、医師の指示があるまで入浴はできません。患部は3~5日の固定が必要となります。